Feel Japan by Bike 自転車で散歩…

1996年2月27日 スコールのち晴れ (前編)

自分はどうしたらいいのか分からない。

とにかく後戻りできない事態になってしまった。どうしたらいいのだろう・・・。

もう一度彼とイカサマの勝負をして全てをゼロに戻すか、両親や友達に相談すべきなのか迷う。

自分で蒔いた種なので自分で始末しなければならないのだろうと思う。

なんとか勝負に持ちこたえ、T/Cの交換分のUS$15,480さえ戻ってくればいい。後の余分な額はたとえ勝ったとしてもいらない。受け取らない。

もう一度勝負をして収支を納めるべきなのだろう。

毅然と断れば済む話を、全てが自分の優柔不断な性格が招いたこと。

しかし今回のはコトが大きすぎる。

先の展望やシナリオ通りに進めるには越えなければならないバーが大きく高すぎる。自信がない。うまく行くのだろうか?

とにかくミスのないように勝ちT/C分の回復ができたら後の余分な分は彼らに渡し、今後一切賭け事はやらない。

そして彼らとは一切関わり合いたくない。忘れたい。

一生背負う十字架をまた一つ増やしてしまう。

 

今日は迎えに来る約束の時間である15時までじっと待つ。

落ち着かなく、かと言ってどこにも出掛ける気になれず、部屋の椅子に座ったりロスメンの入り口でひたすら待つ。

埃っぽい路地をバイクや人がひっきりなしに行き交う。全ての人が羨ましく見える。

アイス売り販売車のテープを聞いて、

「何年かしてまたこのアイス売りのテープを聴いたとき、このどん底の気持ちが蘇るのだろうな。その時は、今のこの現状を笑ってやり過ごせる状態なのだろうか。」

とぼんやりと思う。

 

待ちに待った15時になるが彼らは来ない。

15時半頃に叔父(自称:トニー=テラー)からロスメンに電話があり

「自分の預金は定期預金のためおろせなかった。ジャカルタのヒルトンでUS$2,000借りるので再戦は29日に延期だ」

と言う。

もう諦め

「警察に行くわ・・・。」

と揺さぶりをかけてみるが

「リー=コイはそれでOKしてくれているから他に方法はないだろう。」

と言う。

受け入れざるを得ない、まさにまな板の鯉の状態。

自分が遠くへ流されていく暗澹たる気持ちになる。

 

29日は11時に迎えが来て12時に再戦開始の予定だと言う。2泊延泊しなければならない。

 

29日に勝ったらまたリー=コイは提案をしてくるのではないだろうか?

T/Cのレシートはどこだろうか?

誰にも言えない。誰にも迷惑をかけたくない。親にも友達にも心配をかけたくない。

 

29日に再戦し、自分がミスせず、誰にも言わないで闇に葬れば全てOKなのだろうか?

 

本当に?

 

違う。

 

自分は偽善者だ。

でも偽善者でもいい。元金が戻り、再び旅行が続けられればそれ以上望むことはない。

 

”神様、リー=コイをもう一度イカサマ勝負でだますのは気が引けますが利益は取りません。ゼロです。ですので、あともう一回、どうか目をつぶって下さい。”