Feel Japan by Bike 自転車で散歩…

1999年12月8日 晴れ

強風の吹き荒れる中、鯨の背中のような岩の上で一晩を明かす。

サハラはやはり厳しかった。

35kmで屈したのは残念だけれど、タイヤが砂に埋もれ進まないのだからどうにも仕方ない。

もう少し踏み固められた道ではないのかと期待したいただけに、認識が甘かったと悟る。

一応挑戦はしたのだから悔いはない。

 

今日も、昨日と同じような景色が続き、荒野のような所もあれば、砂丘が折り重なる箇所もある。

これまでのような礫砂漠であれば、平坦なので先まで見渡せるのだけれど、サハラはオアシスの存在を期待して砂の丘を苦労して上っても広がるのは同じような砂丘の海。

 

早朝、明るくなってすぐに進み始めたけれど何時間も走っても村はおろかオアシスもない。

強烈に喉が渇く。

 

ふと足下を見ると、ソフトボール大のスイカのような植物があり、水分が補給できると期待して割ってみる。

中は青臭く、ちょうどスイカの赤い実がない、全部皮みたいな実。

生育途中なのかな?

水分などほとんどなく、食べられたものではない。

一瞬助かったと思っただけに、このスイカもどきにかなりガッカリしてしまう。

 

10時頃、砂漠の上をバンが走ってくるのを見つける。

交渉して2,000ウギアでドロレまで乗せてもらうことにする。

このバンはアタール(Atar)を通らずにヌアクショット(Nouakchott)へ行くそうだ。

 

道なき砂漠の上の、サンディーな中進む。

途中、トラックが砂にはまってスタックしている。

このバンも一度砂に埋もれ、手押しで脱出する。

激しい震動に身を任せ、じっと耐える。

 

ようやくアタールとの分岐らしき所に到着する。

しかし何の標識もなく、これまでと同じようなストック・ルートの分岐にしか見えない。

仮に順調に自転車でここまで進んできたとしても、道の良い方を選んでしまい、コースアウトして全く違う方へ行っていた可能性が高い。

やはり無理があったな・・・と再度認識する。

元より、ドロレへ繋がるストック・ルートがある事すら知らなかったし、仮に知っていたとしても、昨日もアギ(Agui)をコースアウトしているので、予定していたルートは全く進めていなかった事になる。

 

14時頃、ようやく舗装された道に出る。

日本のODAで建設された道らしく、めちゃくちゃ良い道。

アタールから365km、アクジョウジュト(Akjoujt)まで115kmの地点。

ここからは自転車で進む事にする。

 

降りる時になってドライバーが3,000ウギアを要求してくる。

2,000ウギアで交渉したのだから2,000ウギアしか支払わず、そこから2kmほどのドロレまで進む。

 

久々に見つけた商店に入り、水を買う。

ここで歓談し、ミントティーを1/2の量が入ったのを3杯飲むけれど、500ウギアだと言ってくる。

ここでもまたお金か、と思うともううんざりしてくる。

過酷な自然環境の中なのだから、分からないでもないけれど、最初に確認した事や、だまし討ちするようなやり方は止めて欲しい。

約束を守って欲しいと思うのは、これまで物が満ち足りた所にいた人間が思う驕りなのだろうか、と自問自答する。

これまでの疲れが累積して、心は寛大になれずうんざりしてしまう。

 

さっさと500ウギア払って、町の体を成すアクジョウジュトを目指す。

なんだか何でもかんでも金、金で、モーリタニア人にはお金に汚いイメージが付いてしまい、辟易してしまう。

こんな国は今までで初めて。

あのお茶が500ウギア?

ヌアディブー(Nouadhibou)ではチキンが350ウギアなのに?

そして、何でもかんでもポリサリオのせいにする。

これまで、貧しい国も見てきたけれど心まで貧しいな・・・と感じたのはモーリタニアが初めてだと思う。

US$100もビザ代を払ってまで来る国ではないな、と思ってしまう。

 

ドロレからは、日本の円借款で作られた、砂漠には似合わない素晴らしい道を進む。

まさか、こんな所で日本のODAに助けられるとは思わなかった。

 

完璧な道に助けられつつも、累積した疲労で苦労してアクジョウジュトまで進む。

特に暗くなってからの疲労はピークに達する。

車なんてほとんど通らない。

 

イランのカズヴィン(Qazvin)で見たような、長い尾を引いた流れ星を見る。

 

23時頃、アクジョウジュトに到着する。

 

宿の場所を聞こうと思い、水を買う。

ここでも、ああでもないこうでもないと言って釣り銭を渡さない。

斜向かいに宿らしきものがあり、そこのオーナーでもあるらしいのだけれど、4,000ウギアだと言ってくる。

夜も遅く、這々の体でやっと着いたのでさすがにキレかかる。

さすがに悪いと思ったのか、水代はいらないと言い始める。

しかし、モーリタニア人に借りを作りたくなかったので、もう面倒になって300ウギアでいいから水だけ買うと言う。

それでも「プレゼント、プレゼント」と言って、今度はお金を受け取ろうとしない。

一刻も早く休みたいので、お金だけ置いて外へ出る。

舗装されていない、ダートの道の街中を彷徨し、テルジット(Terjit)という当初予定していた寝られる食堂を探す。

偶然通りかかったポリスにテルジットまで連れて行ってもらう。

スープが500、チキンが1,200、クスクスが200ウギアだったのでクスクスを食べ、薄汚れたカーペットの部屋で休むことにする。

他に宿があれば明日移りたい。

 

何だか今日は金、金でうんざりして疲れてしまう。

 

 

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35km south of Choum →→→ Akjoujt   117km    
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